GZA

AWE GZA 3

GZA (ジザ)
本名:Gary Grice
生年月日:1966年8月22日(47歳)

ニューヨーク・ブルックリン出身。伝説的ヒップホップグループWu-Tang Clan(ウータン・クラン)の創設メンバーの1人であり、The Genius(ザ・ジーニアス)の異名を持つ。

グループの中で最もキャリアが長く、また他のどのメンバーよりも先にレコード契約を果たしており、グループの精神的支柱となっている。

1995年に発表した『Liquid Swords』が大ヒットを記録し、以降ソロとしてのキャリアを着実に重ねる一方で、グループの他のメンバーの作品にも積極的に参加している。AllmusicのSteve Hueyによって「90年代最高のリリシストの1人」と評され、About.comが選出する「歴代MCトップ50」では17位にランクインし、Wu-Tang ClanのメンバーであるMethod Man(メソッド・マン)、Ghostface Killah(ゴーストフェイス・キラー)、Raekwon(レイクウォン)らを抑え、グループ内で最高位を記録した。2012年には、The Source誌が選ぶ「史上最高のリリシスト50人」に選出される。

 

Early Life(活動初期)

ヒップホップとの出会いは1970年代初頭に参加したブロックパーティーだった。ほどなくして、後にWu-Tang Clanのメンバーとなる従兄弟のRZA(レザ)とOl’ Dirty Bastard (オール・ダーティ・バスタード)と共にAll in Together Nowを結成。それぞれがラップとDJを担当し、時に名前を使い分けながらニューヨーク各地でショーを行い、多くのMCバトルに参加した。数年後、The Genius名義でCold Chillin’ Recordsと契約。Easy Mo Bee(イージー・モ・ビー)をメインプロデューサーに迎えたデビュー作『Words from the Genius』を発表するも、セールス面では不振に終わった。その後の過酷なツアーを経て、同レーベルを自ら離れる。

 

Wu-Tang Clan

RZAとODBを含む9名のMCからなるWu-Tang Clanに加入し、ヒップホップの歴史に名を残すデビューアルバム『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』を発表。収録曲の『Clan in da Front』ではGZAが単独でマイクを握っている。その後もWu-Tang Clanとしてリリースを重ね、ヒットを記録したRaekwonのソロデビュー作『Only Built 4 Cuban Linx…』での客演などにより、The Genius名義では叶わなかった、MCとしての確固たる地位を築くことに成功する。その後、ソロとしてGeffen Recordsと契約し、RZA全面プロデュースによるアルバム『Liquid Swords』をGZA名義で発表する。同作はセールス面で大きな成功を収めただけでなく、評論家の間でも絶賛され、数多いWu-Tang Clan関連の作品の中でも傑作の1つとされており、1998年にはThe Source誌が発表した「史上最高のラップアルバム100枚」に選出されている。また同時期には、当時のマネージャーであり、映像制作に精通していたGeoffrey L Garfieldのサポートを得て、ミュージックビデオの監督を務めるようになる。『Liquid Swords』『Cold World』『Shadow Boxin’/4th Chamber』の3つのミュージックビデオにおいて、Garfieldが脚本とプロデュース、GZAが監督を務めており、『Shadow Boxin’/4th Chamber』はThe Source誌が選ぶ同年のビデオ・オブ・ザ・イヤーTop5にランクインした。また2人はShabazz The Disciple(シャバズ ザ ディシプル)、Ghostface Killah、Case(ケース)等のミュージックビデオも手がけている。2人はGZA Entertainmentを立ち上げ、音楽出版権の管理、ミュージックビデオ制作、アーティストグッズのデザイン及び販売、レコードジャケットのデザイン等を手がけるようになる。Milestone Media所属のDenys Cowanは同社からのオファーを受け、Wu-Tang Clanのメンバーが宇宙に浮かぶチェスボード上で敵と戦う姿を描いた『Liquid Swords』のジャケットを手がけることになった。

 

Solo Career(ソロ活動)

Wu-Tang Clanのセカンドアルバム『Wu-Tang Forever』への参加を経て、1999年にはGZA名義での2作目となる『Beneath the Surface』を発表。評論家の間では概ね好評であり、ゴールドディスクを獲得したが、『Liquid Swords』で収めた成功には及ばなかった。グループの他のメンバーのソロ作品同様、同作ではWu-Elements(ウー・エレメンツ)をはじめとする様々なアンダーグラウンドのプロデューサーが起用されており、RZAの不在がセールス面での敗因となったと一部の評論家は指摘している。その後Wu-Tang Clanのアルバム『The W』『Iron Flag』への参加、そしてグループの他のメンバーのソロ作品への参加を経て、2002年にGZA名義での3枚目となる『Legends of The Liquid Swords』を発表。評論家の間では高く評価されたが、セールス面では不振に終わった。2004年にはWu-Tang Clanとしてだけでなく、ソロとしても精力的にツアーを行った。また同年、Jim Jarmusch(ジム・ジャームッシュ)が監督を務めた映画『Coffee and Cigarettes』において、RZAと共にBill Murray(ビル・マーレイ)と敵対する役で出演した。

2005年にはCypress Hill(サイプレス・ヒル)のプロデューサーであるDJ Muggs(DJマグス)とタッグを組み、アルバム『Grandmasters』を発表。全トラックのプロデュースをDJ Muggsが手がけ、ラップにはチェスからの引用が多く見られる。同作の評価は概ね好意的であり、セールス面でもまずまずの成功を収めた。また同年にRaekwonが制作を進めていた『Only Built 4 Cuban Linx….Pt.Ⅱ』の大部分に、Wu-Tang Clanの一員でもあるInspectah Deck(インスペクター・デック)と共に参加する予定だったが、後になってその計画がうやむやになってしまったことを明らかにしている。

2007年にはWu-Tang Clanとして5作目となる『8 Diagrams』を発表。同作の制作期間中、RZAと他のメンバーの間で摩擦が生じていたことは広く知られており、GZAはRaekwonとGhostface KillahがRZAのプロダクションに不満を表したことを擁護した。2008年にはBlack Milk(ブラック・ミルク)、Jay “Waxxx” Garfield、RZA、Mathematics(マセマティクス)、True Master(トゥルー・マスター)等をプロデューサーに迎え、『Pro Tools』を発表。収録曲の『Paper Plates』はライバルである50 Cent(50セント)に対する挑発であるとして物議をかもすこととなった。その後『Liquid Swords』と『Pro Tools』からの楽曲を中心にプレイする「Liquid Swords Tour」ツアーでヨーロッパ各地を回り、同年後半にはアメリカ国内でも同様のツアーを敢行した。この時、再びRZAとアルバムを作りたいという考えを公の場で口にしている。

2009年にはWu-Tang ClanのメンバーであるU God(ユー・ゴッド)のソロ作『Dopium』収録曲の『Stomp Da Reach』で客演し、Raekwonの『Only Built 4 Cuban Linx…Pt.Ⅱ』においては、『We Will Rob You』、『Rockstars』、『House of Flying Daggers』の3曲でマイクを握っている。1年を通して精力的にツアーを行い、”Rock The Bells”や、カナダの”NXNE Music Festival”などの大型フェスティバルにも出演する。その頃RZAは GZAの次回作『Liquid Swords Ⅱ : The Return of The Shadowboxer』を全面プロデュースすることを明らかにする。また同年、GZAはシンガーソングライターのDevendra Banhart(デヴェンドラ・バンハート)のミュージックビデオ『Baby』に出演している。また先日、Examiner.comでのインタビューで制作途中の『Liquid Swords Ⅱ」について語り、オリジナル同様、Killah Priest(キラー・プリースト)の独演による『B.I.B.L.E』が最終トラックになることを明らかにした。またタイムトリップをテーマにしたコンセプトアルバム『Dark Matter』を制作中であることも伝えられている。Pete Rock(ピート・ロック)とDJ Premier(DJプレミア)が制作中のバトル形式のアルバムにおいては、DJ Premierのトラックでマイクを握っているという。さらに先日講師として出席した講義において、Parental Advisesoryのマークが「ヒップホップの可能性を脅かす不要なもの」であると非難した上で、そのマークが不要なアルバムを作る構想について語った。

また現在、Teachers Collegeおよびコロンビア大学で教授を務めるChristopher Emdin(クリストファー・エムディン)、そしてリリック解説サイトRap Geniusと共に、ニューヨーク市の理科教育改善プロジェクトに携わっている。そのプロジェクトは、若者がリリックを考えたり、ラップのコンペティションへの参加を通じて科学について学ぶという、ユニークなコンセプトを掲げている。

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