Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のメンバーGZA(ジザ)のデビューアルバム『Liquid Swords』が20周年

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【クラシック作品再び: GZA Liquid Swords】

〈GZA(ジザ)の最強デビューアルバム『Liquid Swords』が20周年〉

ヒップホップは多様性を作り出すたくさんの要素が形となった芸術の1つである。

最近では、風変りなものを含でいるものもまあまあ耳にするようになったが、90年代では全てがもう少し結合されていた。
Nas(ナズ)The Notorious B.I.G.(ザ・ノトーリアスBIG)、A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)やJay Z(ジェイZ)などが90年代にニューヨークシティーから発信していた音楽は全て、ニューヨークでのストリートライフについて歌っており、ストーリーを語るのに音源をつくるため前の世代のサンプルを利用していた。

最近では、Joey Bada$$(ジョーイ・バダス)からYoung Thug(ヤング・サグ)と様々である、だがこの業界は、GZA(ジザ)が大ヒットアルバム『Liquid Swords』をリリースした20年前はもっと一様であった。20曲を収録したレコードはDanny Brown(ダニー・ブラウン)ほどの驚きはなかったが、しかし1995年にリリースされたレコードとしてはそのくらい珍しいものであった。

アルバムは”Shogun Assassin”という古いカンフー映画からのサンプルからはじまる。Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)がデビューアルバム『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』ですべてカンフーからのサンプリングを使用し、しかも彼らと同名の映画『Shaolin vs. Wu Tang』から全てサンプリングにしている。しかしながら、その頃にとっては少し長めで、とっても暗い音楽であった。Willie Mitchell(ウィリー・ミッチェル)の器楽曲をサンプルに使用し、そのキャッチーなフレーズはWu-Tangの歴史でも有名なものとなった。

「the genius」(天才)のニックネームを名前の由来にもつGZAは、もちろんスマートな人であり、このアルバムを通して何をアプローチしているのか明確なものとなっている。

彼は、心を刺激するためにコカインを必要としているラッパー達を追っており、GZAは伝えたい事をただ勢いに任せて歌うのではなく言葉を選びながらゆっくりな流れで澄んでて卓越された詩を歌っている。

【When the MCs came to live out the name and to perform / Some had to snort cocaine to act insane before Pete Rock-ed it on / Now on with the mental plane to spark the brain with the building to be born】
【MC達が名前を売出すためにパフォーマンスをし始めた時 / Pete Rockが登場する前にはバカ騒ぎするために何人かはコカインを吸っていた / 今はメンタルの段階だ / 生まれるための形成をする脳を刺激するために】

【殺人シーンの血の流れのように自分は歌うんだ。注射器みたいにスッとね】と彼は淡々と歌い、この後のオープニングバースは以下のように続いている。

【I don’t waste ink, nigga I think / I drop megaton bombs more faster than you blink / Cause rhyme thoughts travel at a tremendous speed / Clouds of smoke, of natural blends of weed / Only under one circumstance that’s if I’m blunted / Turn that shit up, my clan in the front want it】
【薬の無駄使いはしない、俺はそう思う / お前が瞬きするよりももっと早くにメガトン爆弾を落とす / ものすごい速度で韻の考えがうかぶんだ / 煙でつくられた雲、自然にブレンドされたウィード / もし自分が鈍っているなら、その状況でだけだ / それを持ってこい、目の前にいる俺の仲間が欲しがっている】

彼は大げさに表現しているわけではない。ラップを使ってドラッグの使用を追っているのであり、自然なマリファナのブレンドの影響で鈍っているだけだと言っている。前述した項で一番大切なのは最初のラインである「I don’t waste ink, nigga I think.」

GZAはWax Poeticsとのインタビューで、「Raekwon(レイクウォン)Ghostface(ゴーストフェイス)は始めてから45分くらいで1曲を収録することができる。だけど自分は一度始めてもまた戻ったりして詩を作る。ようは、もっとゆっくりと作るんだ。曲を書くのにだいたい2・3日かかる。違う文を書いたりして、それを繋げたりすることもある。」と述べている。

このやり方のせいなのか、 the Geniusは26年のキャリアの中でアルバムをわずか6枚しかリリースしていない。一方で、GhostfaceとRaekwonは倍の数の長編プロジェクトをリリースしている。比較することでもないが、GZAが金持ちやバケーションについての曲を歌っているのを耳にすることはないだろうからだ。彼はそれよりも深いのだ。

 

Labels”では、我々の注目は”Protect Ya Neck”を再び取り上げ、「もしこのレーベルを読まなければ中毒を起こす」という教訓を再確認することであった。これに続く節は今までで最も過小評価を受けたディスの1節ではないかと思う。どちらかともとれる表現でレーベルの名前を出し歌っていたったのだ。Tommy Boy(トミー・ボーイ), Def Jam(デフ・ジャム), Cold Chillin’(コールド・チリング), Arista(アリスタ)や他の多くの伝説的なラップレーベルを中傷したように、誰も信頼はできない。

 

Swordsman”では、GZAは何も疑問に思わない人の為にしんらつな言葉を綴っている。

「俺はいわゆる教育のある黒人活動家ではない」と今までの中でも知的な小節が歌われている曲の最初のほうで歌っている。GZAはサイトgeniusでこの歌に注釈をつけ、第二節の終わりはWu-Tang Clanに大いに影響をおよぼした神的存在であるmathmatics(マスマティクス)についてであると伝えている。

深く掘り下げていこうが気軽に聞こうが、GZAはこのレコード全体を通して教えてくれている。”I Gotcha Back”ではこう質問を投げかけている。「CRIME(犯罪)とは何を意味している?毎回、なんの罪もないやつから窃盗することか?」彼はただ the Genius(天才)と呼ばれているだけではない。このアルバムの終わりが最大の証だといえる。

Basic Instructions Before Leaving Earth(B.I.B.L.E)”はBible(聖書)の頭文字を意味しているかのようにみえる。次に進む前に基本となる教えに従えということは、少なくとも聖書でも教えていることだろうから、そうとも捉えられるかもしれない。歌詞は同じくらい聡明なものとなっている。

【But I ignored, and explored my history that was untold / And watched mysteries unfold / And dropped a jewel like Solomon, but never followed men / Cause if you do your brain is more hollow than / Space oblivia, or the abyss,】
【だけど俺は無視する、そして語られていない歴史を冒険するんだ / そしてミステリーが明らかになるのを見るんだ / そしてSolomonのように宝石を落として行く、けど決して男は追わない / だって、もしそうしたらお前の脳はもっと無意味だ / 広大な宇宙または奈落の底なんかよりも】

と自身のことを考えるようにと”Swordsman”のテーマを再び取り上げている。

【I did it anyway just to wake up the mind / Of those who kiss stones or prays on the carpet / Those who sit home, or sell books by the market / Need to chill and get their mind revived / For years religion did nothing but divide / The basic instructions before leaving earth,】
【気を取り戻すために常にしていた / 石にキスをしたりカーペットでお祈りをする人たちの / 家にずっといる人、マーケットで本を売っている人 / 落ち着いて正気になる必要がある / 長い間宗教は分裂する以外何もない / この世を去る前の基本的なインストラクションだ】

と、常に正気でいられるように、そして周りに流されないようにとリスナーに説いている。

”B.I.B.L.E”の中でも最もクレイジーなことは、実は詩がKillah Priest(キラー・プリースト)によって作られていることだ。

GZAはこの曲において詩をつくった箇所はない。彼はこの選択をしたことについてこう詳しく述べている。

「Priestにこのアルバムにどうしても関わって欲しかったんだ。そして、その話をした時に、彼は曲全部をカバーすると言ったんだ。だから任せてみた。信じられないことだよ。アルバムの中でもこれが一番のお気に入りだって言ってくる人は未だにいる。ほんと、とっても深い曲なんだ。彼は色んなことを解りやすく書いた、説教師、牧師、教会、細かいこと、それから色んなことに対する直観なんかを。【地球はすでに宇宙にある。私が奉ずるあなたのバイブル、担わなければならない色んなタスク・・・】この曲は本当に完璧で素晴らしくこのアルバムを締めくくっている。」

このアルバムの最終曲を他の誰かに許すという選択は簡単なことではないはずだが、それが正しければ、それでいいのだ。”B.I.B.L.E”はThe Geniusなしでも十分に良いものであったが、彼はそれを自分の作品にしてしまう賢さも十分にあった。

もちろん、集団での箇所がなければクラシックなWuのレコードとは言えない。3つの印象的な曲である“Duel of the Iron Mic”、 “4th Chamber” と“Investigative Reports”は一味出すためにWu-Tang Clanのメンバーが出演している。Wu-Tang Clan全員がこのレコードの所々でフィーチャーされており、新しい試みと真のWuの素晴らしさを作りだしている。

『Liquid Swords』はつい最近、プラチナ認定となり、発売から20年経った今、このレコードの重要性が認められたようだ。

歌詞の奥深さが未だに人気である理由になっているのはもちろんのことだが、RZA(レザ)の過去の作品ということで注目されているとも言える。彼は、4th Discipleによる”B.I.B.L.E”を除いてはこのアルバムの楽曲を全てプロデュースしているのだ。

このアルバムはWu-Tang、90年代のヒップホップ、そしてラップの歴史の中でも優れた作品の1つとしての遺産を残した。いい意味で、この『Liquid Swords』なしでは語られることはないだろう。The Geniusは、素晴らしいWu-Tang Clanとともに、この作品で新しい試みと真の名作を作り上げた。

▼GZAプロフィール▼
http://illegal-assembly-of-music-dark.com/gza/

▼GZA情報一覧▼
http://illegal-assembly-of-music-dark.com/category/artist-info/wu-tang-clan/gza/

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